① 思春期(9〜18歳)には必ず反抗期が来る。親がつける「意味」で対応が変わる
思春期は、だいたい9歳か10歳から18歳くらいまでを指します。この時期に必ず出てくる問題が反抗期です。これは絶対に来るので、まず前提にします。
思春期の子育てで神光がユダヤで一番最初に教わったのは、この反抗期とどう向き合うか、でした。そこで一つ格言があります。
出来事に意味なんてない。自分がそれに意味をつけるまでは。ユダヤの格言
津波もリストラも離婚も、出来事そのものに意味はなく、自分が意味をつけるまでは意味を持ちません。反抗期も同じです。「ついに自分の子が私を裏切った、この子はもう悪の存在だ」と意味付けたら、子どもへの対応は悪くなります。そうではなく、「子どもが成長したから反抗期が起きている」「自立してくれている、親離れするんだな」と意味付ける。神光が教えられたのも「自立と成長」でした。
反抗と言っても、中身は親の考え方と子どもの考え方が違うというだけで、子どもが自分の考えを持ち始めたということです。それは良いことです。神光の娘は口が悪くわがままだそうですが、それに悪い意味付けをしないから優しく接することができる、と講義で話しています。まずこれが、思春期に親が持つ心構えです。
② 葬式ベースで「使命」を5分で決めさせる(毎年更新してよい)
次に、質の良い参考材料を渡します。ユダヤ人は13歳のとき、あることをやらされます。人生の使命を決めることです。ユダヤ人は13歳で成人です。13歳の成人と使命については 13歳の成人と使命 にまとめているので、ここでは思春期の関わりとしての要点だけ書きます。
目的は「お葬式のときの通信簿を上げる」ことで、この考え方を葬式ベースと呼びます。人生では通信簿を2回もらう。1回目は学校で、これは高くても低くても大きな問題ではない。2回目はお葬式のときで、こちらが低いのは問題です。アメリカのお墓には「優しかった母、ここに眠る」「強かった父、ここに眠る」のように文字が刻まれます。自分はそこに何と書かれたいのか。「いつも周囲に文句ばかり言って人を不快にさせた人、ここに眠る。ついでに二度と起きないでください」とは書かれたくない。使命(ミッション)とは文字通り、お葬式までの間にどう命を使うかです。これが決まれば、生きる判断軸が決まります。
決める時間は5分以内です。人生の使命を5分で、と聞くと意味が分からないと思いますが、理由は、ほとんどの人は考えたことがないので決まらないからです。だから未完成でいいから、まず作る。「ないものは進化しない」という原則があります。最初の携帯電話はiPhoneではなく、ポケベルのような未完成なものでしたが、何かがあったからそれを進化させようと頭が働いて今の形になった。元がなければ進化もない。だから5分で形を作り、何回変えてもいい。誕生日ごとに毎年やらされて、変わって構わないそうです。
使命を自分で決めさせると、注意がしやすくなります。「周りから尊敬される人」と自分で書いた子が、家で一日中YouTubeを見てゴロゴロしていたら、「それで尊敬されると思う?」と聞けます。押し付けではなく、自分で書いたことだから言えるのです。
③ 努力したら報われる習慣:ポイント制度(お小遣いの代わり)
参考材料を入れたら、次は良い習慣です。ユダヤでは「すべての結果は習慣の連続体の先にある」と考えます。子どもにつけさせたいのは、努力したら報われる、自分から何かを勝ち取りに行く習慣です。
この習慣の邪魔になるのが、お小遣いとプレゼントです。小1なら100円、小6なら2,000円のような決まったお小遣いは、何も努力せずにもらえるので、努力する気が失せます。だからユダヤの家庭にはお小遣いもプレゼントもなく、代わりにポイント制度を使います。紙4枚(自分が親にできる貢献・欲しいご褒美・ペナルティ・集計)を用意し、貢献にポイントを、ご褒美に必要なポイントを、ペナルティに減点をつける仕組みです。目線は少し厳しめに、導入は親の鶴の一声ではなく子どもの同意を取ってから。作り方と失敗例は ユダヤ式のお小遣い(ポイント制) に詳しく書きました。
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④ 叱り方:「ながら」で叱らない、理由を話す、本人に決めさせる
叱り方を間違えている人が多い、と講義では言います。まず絶対にやってはいけないと教わったのが「ながら叱り」です。食器を洗いながら「ちょっと片付けや」と言う。これはまず子どもが話を聞きません。それ以上に、愛を感じません。愛情とは相手に興味関心があることなのに、ながらで叱られても「自分に関心がある」とは伝わらないからです。
だから叱るときは、必ず向き合います。「ちょっと来て」「そこに座って」「話があるよ」。それからWhy(なぜそれをしないといけないのか、してはいけないのか)を話します。人は意味が分かったら動きます。歯磨きをしない子は、歯磨きのメリットとしないデメリットが分かっていないから、面倒くささが勝っています。重要性や必要性を伝えてから、「あなたはどうしたい?」と聞く。本人が「した方がいい」と言ったら、「自分で言ったことは守ろう」と言える。相手に決めさせてから叱る、ということです。これにはプレゼン力が要ります。
公開動画では、叱るのはルール違反のときだけ、ルールの外では叱らない、叱る役と逃げ場になる役を分ける、という土台の話もしています。子どもは叱られたら嫌な気持ちになるし少し嫌いにもなりますが、親の役割は子どものご機嫌を取ることではなく、幸せな人生を歩む手助けをすることだ、と。詳しくは ユダヤ式の叱り方 に書いています。
⑤ 正確に復唱させる:アウトプット前提のインプットに変わる
叱ったあと、決めたことを正確に復唱させます。たとえば「ご飯を食べた後は、食器をシンクに入れてお湯につけておく」と伝えて、子どもが「分かった」と言ったとします。「さっき注意されたこと、何だった?」と聞くと、「食器は水につける」。違う。「食器はお湯につける」。違う。「ご飯を食べた後、食器をシンクに入れてお湯につけておく」と正確に言えるまで、何度もやり直させます。
神光自身も、師匠にこれを徹底的にやらされました。栄養の勉強のとき、「栄養を取る。取った栄養を腸で吸収する。吸収した栄養を全身に回す」という文を覚えるよう言われ、「取る、吸収する、全身に回す」と要約して言ったら、「そんなことは教えていない。正確に言ってください」と何度も返された。当時は細かすぎると思い、何の意味があるのか本当に分からなかったそうです。
意味はこうです。正確に覚えないと終わらないので、聞くときから耳を澄ませ、メモを取り出す。つまりアウトプットを前提にしたインプットになり、誰かに教える前提で聞くので、インプットの質が変わります。この習慣を子どもにつけさせます。
講義の質疑で、5歳の男の子が「分からない」と言って考えるのをやめてしまう、という相談がありました。答えは、「分からない」で話を絶対に終わらせないこと。「分からない」と言ったら終わる、という習慣(癖)がついているので、不完全でもいいから一度自分で考える工程を踏ませる。「もう一度言うから聞いてね」「ヒントをあげるね」「何が分からない?」と、しつこく、言うまで終わらない。怒る必要はないけれど厳しくはあるべきで、うやむやで終わらせないことです。
⑥ 餌を与えず釣り方を教える:賢者と魚の話
子どもにつけさせたいのは「知っている」「分かっている」ではなく、「できる」状態(習得)です。習得まで行かせるための方向性が、「餌を与えない、釣り方を教える」です。講義で話された賢者の話はこうです。
二人の賢者がそれぞれ別の村に行きました。どちらの村も貧しく、飢えで死にかけていました。Aの賢者は魚をたくさん与え、村は一度救われました。Bの賢者は釣り竿を渡し、釣り方を教え、村は救われました。何年か後にまた行くと、Aの村はまた全滅しかけていて、Aの賢者はまた魚を与えました。Bの村も全滅しかけていましたが、理由は釣り竿が壊れたこと。Bの賢者は今度は釣り竿を渡さず、釣り竿の作り方と使い方を教えました。さらに何年か後、Aの村はまた全滅しかけていましたが、Aの賢者にはもう魚を買うお金がありません。「お前が魚をくれなければ村が全滅する」と恨まれ、Aの村は人を恨みながら滅びました。Bの村は、釣り竿の作り方と使い方を知っているので、栄えていました。
教訓は、魚そのものを与えても相手のプラスにならず、最初は感謝されるようでも結局は恨まれる、ということです。渡すのはやり方で、やり方を習得するところまでやらせてあげる。ポイント制度も全く同じで、お小遣いそのものではなく、お小遣いをもらえる方法を渡し、あとは自分でどうすればいいかを考えさせます。
⑦ 負荷をかけて、信じる:「君以上に僕が君の可能性を信じてる」
人が急激に成長するのは、負荷(言い換えると痛み)がかかったときです。自己啓発の世界で「コンフォートゾーンの外に出る」と言われるのと同じで、毎日通る通学路や10年来の友達との会話に、新しい発見や緊張はありません。一人でインドに行くと言われたら不安でしょう。その不安やしんどさが出る領域が、成長を促してくれます。自転車は傷だらけになりながら乗れるようになります。だから親は、子どもが失敗してもいい時期に、わざとしんどい状況を作ってあげます。
神光自身、師匠からこれを何度もやらされました。一度、1か月かけて企画した1週間の旅行で、師匠は合流に2時間遅れ、予約済みの予定を「全部変更するから」と言いました。不満そうな顔をしていると、師匠は「思い通りに行くことばかりじゃないでしょう。うまくいかないときに不平不満を言って機嫌が悪くなって、意味がある? こういうときに柔軟に対応できるかどうかが試されているんですよ」。これを毎回やらされるうちに、「世の中、何が起きても大体どうにかなる」という発想と、柔軟な対応力、交渉力が身についたそうです。
ただし負荷をかけるときに、親がやるべきことが一つあります。無条件に子どもを信じることです。原則は「人は信じられた通りの人物になる」。人は自分たちが思っている以上にすごく、信じると意外とクリアします。逆に信じられないとクリアできない。子どもが自分の可能性を信じるのはもちろんですが、何よりも先に親が子どもの可能性を信じてあげる。師匠が今のようになれたのは何よりも祖父が信じてくれたからだと言って、祖父の言葉を教えてくれました。
君が自分の可能性を信じられないことは、きっとあるだろう。けど安心しなさい。自分で自分の可能性を信じられなかったとしても、君以上に僕が君の可能性を信じてる。ユダヤの先生が祖父から言われた言葉
身近な例も一つ。神光の娘はパズルが好きで、それまでは80ピースや100ピースでしたが、500ピースのものを欲しがりました。「できるのかな、やめておいたら」と言いかけましたが、本人が欲しいと言うので買い、ちゃんと組み立てて飾ったそうです。「5歳だから、6歳だからできない」というのは親の考えで、信じると割とできる、と。ただし、これはうちの子の話で、同じ結果を約束するものではありません。渡す課題は簡単なものではなく、少し難しい課題にするのがコツです。
- 【ユダヤ式】子育ての原理原則part② 子供に〇〇を持たせよ(YouTube「ゆだしん」)
- 【天才を生み出す】ユダヤ人から学ぶ子育ての原理原則(YouTube「ゆだしん」)
- 子育て 思春期編(講義)(YouTube「ユダヤアカデミー」)
数字について:人口0.2%(約1,580万人・2024年)はヘブライ大学 S. デラペルゴラ教授の推計、ノーベル賞受賞者の約2割は Jewish Virtual Library の受賞者一覧の集計です。動画で話している「世界の富の40%」「アカデミー賞の37%」などは集計によって数値に幅があるため、このサイトでは出典を確認できる数字だけを使っています。
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